平成の日本経済を分かりやすく振り返るー[日本経済入門]藤井章夫
「経済に興味がある」
「マイナス金利? アベノミクス?今の日本経済がどうなっているのか分からない」
そんな方の為に藤井章夫さん著の日本経済入門という本を紹介したいと思います。
平成の日本経済がどのように歩んできたか、世界における日本の立ち位置など知ることで、これから国のすることが自分の身の回りや会社にどのような影響を及ぼすか知る一助になると思います。
著者について
著者の藤井章夫さんは1962年生まれで大学卒業後に日本経済新聞社に入社
その後、経済部にて経済企画庁、日銀、大蔵省などを担当し、主にマクロ経済、経済、金融について取材しており、ニューヨーク米州総局、経済部次長、ワシントン支局長など数々の経験をしてきたベテランの記者さんです。
ではさっそく書評していきたいと思います。
読んだ感想
私の経済に関する知識は普通の人よりは少しあるかなという程度です。
投資をしている関係で金融政策のことなど分からない事を時々調べる程度で実際に書籍で学ぶのは初めてです。
その為、平成30年から未来の2030年頃の日本経済の予測まで広い範囲を順を追って学べたのはよかったです。
ただ、この本では難しい数式や経済理論は一切出てきてこず、日ごろ経済ニュースに興味がないという方でも分かるように書いているようですが、やはり経済に関することというだけあって完全に経済に関する知識が0の状態で読むともしかしたら理解しずらい部分があるかもしれません。
為替、金利、アベノミクス、リーマンショックなど最近起こったことでも構わないのでなんとなくでも知識があったほうがこの本をより楽しめるかもしれません。
しかし、本の最後に「主要項目索引」と本の中で出てきた単語の一覧がありますので読み終わった後に自分が分からなかった単語をネットなどで調べることで周りの人間よりはるかに経済に詳しい人間になれると思います。
どの本でもそうですが、一度ですべて理解する事はできないと思いますので、気になるところで構わないので何度か読み返してみるといいかもしれません。
それでは次に本の内容を一部紹介したいと思います。
この本で学べる事
・平成30年間の日本経済
・第4次産業革命について
・人口減少と少子・高齢化
・日本と世界の金融政策と財政
・エネルギー問題と地球環境問題
・グローバル経済と日本
・2030年の日本について
本の内容で気になったところを一部紹介
この本ではまず最初に平成の30年間の日本経済の歩みに焦点をあてて解説していきます。
理由としてはバブルやバブル崩壊を知らない世代の読者を意識しているとのことで若い世代の方にも優しく進めてくれています。
バブルの崩壊と金融危機
バブルが生まれた原因は様々ありますが、あえて挙げるのであれば1985年のプラザ合意といわれます。
プラザ合意とはニューヨークの高級ホテル「プラザ」に日米欧主要5か国の財務相、中央銀行総裁が集まり、ドル高是正の国際協調の合意です。
これは日独に対して巨額の貿易赤字を出していた米国が不均衡を正すために行ったものです。
実際プラザ合意後は日米欧は外国為替市場に対してドル売り介入を行い、
ドル円はプラザ合意前が1ドル230円だったのに対して2年後の1987年には1ドル120円台まで上昇しました。
これにより日本は円高不況に陥り、それに対して政府が経済対策をした結果バブルへとつながっていきます。
日本経済を学ぶ上でバブルについては知らなければならないことです、最近はバブルなど経済に関することを分かりやすく解説する動画がYouTubeなどで見られますが、本書ではなぜバブルからの回復は遅れたのかなどより深い部分を知ることができました。
第4次産業革命
第1~3次産業革命を経て、現在世界は第4次産業革命へと進んでいます。
第1次産業革命は水力や蒸気機関による工場の自動化
第2次産業革命は電気・石油を動力源とした大量生産方式の導入
第3次産業革命はコンピューターなどの発達によるIT革命
そして第4次産業革命では最近よく話題にあがるIoT等によるモノのネットワーク化
第4次産業革命のカギを握るキーワードは3つ
・IoT
・ビックデータ
・AI
と本書には書かれています。この3つのキーワードの具体的な内容や第4次産業革命についての詳細は書籍に書いてありますので読んで見てください。
日本のソフトパワー
ソフトパワーとは文化的な魅力や価値観などで相手を引き付ける力のことで、元米国防次官補でハーバード大学教授だったジョセフ・ナイ氏が提唱したそうです。
ソフトパワーとは反対にハードパワーと呼ばれるものもあり、これは軍事力や経済力で相手を強制する力です。
軍事力、経済力でも規模が小さくなっていくと言われている日本ではソフトパワーを活かした外交が重要になってきます。
この本のおすすめポイント
・ほとんど何も知らない状態からでも日本経済の勉強ができる。
・本の最後に主要項目索引があり、本の中で出てきた単語の一覧があるので自分が分からなかった単語を調べることで日本経済の知識が大幅にアップ。
・過去の事だけでなく、未来の日本経済についても触れられているのでこれから自分たちの身の回りの生活がどのように変化していくのか知るヒントになる。
まとめ
タイトルの通り日本経済「入門」というだけあって、日本経済について広く浅く学ぶことができる本で今の日本の状況を知る一歩としてはいい本だと思いました。
日本経済についてまったく分からないという方の勉強の一歩としてぜひ読んでみてほしいです。